2019年シーズンの振り返り

2019年シーズンの振り返りです。振り返る事でやる気が高まったので、そろそろ練習を再開します。それでは詳細です。

総評

出場レースはIRONMANケアンズとマレーシアの2レースのみ。ケアンズは高波と強風による厳しいレースコンディションの中、9時間39分の自己ベストタイムで年代別5位。事前の目標タイム9時間25分には届かなかったものの、持てる力を発揮した良いレースだった。マレーシアは9時間54分の年代別3位。初めての表彰台に立つことができ、とても嬉しかった。しかし、バイク途中から体調を崩し、準備段階、レース展開ともに反省点の多いレースとなった。わずか2レースではあるが、今シーズンの練習内容とレース結果を振り返ると、2018年シーズンと比べて全種目でレベルアップ出来たと感じている。

スイムはマレーシアで1時間1分台。過去の同レースと比べて5分以上速くなり、スイムに対する圧倒的な苦手意識からは解放された。マレーシア前は練習前の憂鬱な気持ちも和らいで、毎回確実に3000mを泳げた。

バイクは計測機材が違うので単純比較は出来ないが、FTPはおそらく20wほど上昇した。バイクもP5 discの最新機材に変更。まだレースで思うような結果を出せていないが、今は練習したいという前向きな気持ちになっている。

ランは昨年のKonaの失敗から上下動を抑えた走り方に変えた。ケアンズでは3時間12分と良い結果を出すことができ、鍛えるべき方向性に自信を持つことができた。

また、レース以外では仲間と一緒にケアンズに出場したり、TRIONの合宿にも参加させてもらった。マレーシアでも久しぶりに仲間に再会したり新しい出会いがあった。今までになくトライアスロン仲間と交流することができた1年だった。

大きな怪我もなく、これだけレースも練習も仲間との交流も楽しめたので、とても良いシーズンだったと言えるだろう。来シーズンに向けて、いくつか掘り下げた内容を記録しておきたい。

要約

  • 年間スケジュールとレース選択 (年間2レースに絞り、前半をメインレースにする)
  • ゴール設定 (自分の目的にあった目標を立てる)
  • 2020年前半の目標 (ケアンズ2019を9時間21分で完走できるレベルに高める)
  • 時間配分 (週平均12時間前後に抑えつつ、バイクの割合増やす)
  • レース前調整 (レース前は身体のシグナルに敏感になり、休み過ぎを心配するくらいに練習を減らす)
  • コンディショニング (睡眠の質向上と定期マッサージで回復を促す)
  • スイム (左ストロークを右手と同レベルに改善し、下半身の左右ブレをなくす)
  • バイク (高負荷領域でも股関節周辺や体幹部分を上手く使い、脚を疲労させにくいペダリングと、空気抵抗が少ないフォームに変えていく)
  • ランニング (1km当たり5秒程度スピードを上げ、7-8km以降のフォームへの集中度合いを更に高める)
  • コーチング (コーチングの価値を高めるために4週単位での目標確認や、技術的な面の質問を増やす)
  • レースをスムーズに進めるための改善

年間スケジュールとレース選択

2017年以降、年間2レース以内でアイアンマンに限定して出場している。メインレースに向けて初期準備3ヶ月、強化2ヶ月、最終調整1ヶ月かけるとすると、家庭や仕事とバランスを取りながら進めるには、年間2回がちょうど良いペースと感じている。

2018年は10月Konaしかレース予定がなかったので、前年の12月から6月頃までダラダラと無駄に過ごしてしまった。また、5月にレクリエーションで出場した新島トライアスロンは楽しい経験にはなったが、メインレースとの関連性が低い(メインレースの目標達成に寄与しない)活動に時間を使うのは、競技力向上の観点だけではなく、家族との時間を減らしてしまうので今後も控えよう。

2019年は、6月ケアンズ、10月マレーシアに出場したが、私の場合メインは6月(年前半)に置いた方が良いと感じた。前半は寒い時期にしっかり6ヶ月程度の期間をとって練習できるのに対して、後半は6月後半から7月前半にかけてコンディションを落としてから、再度、強化していくので大きな伸びは期待しにくい。また、夏の暑い時期なので、週末の外での練習が難しい。

というわけで、来季は6月ケアンズをメインレースとし 、10月バルセロナは新しい体験を楽しむ場という位置づけで考える。

ゴール設定

ケアンズとマレーシアの結果の差は、目標設定の適切さが大きく影響していたと思う。ケアンズは出場選手のレベルが高く、順位についての目標は考えなかった。目標タイムも一応定めたものの、年によって波や風の強さが大きく変わるので、目安程度に考え、拘らなかった。それよりも自分の半年間の練習の結果を全て出す、と言う一点に集中していた。

一方、マレーシアは、最後まで目的も目標も曖昧だった。2月まで年後半のレースをきめずに時間が過ぎ、妻もレースだけの旅行に乗り気ではなく、かと言って一人で北米、ヨーロッパまで行く理由もない。仮にケアンズでKonaスロットを獲得しても10月のKonaに出場しないことは決めていたので、過去に出場経験のあるマレーシアで上位を狙ってみようかな、くらいの曖昧さでエントリーしてしまった。

Matt Dixonが本かブログで「アイアンマン レースで順位を目標に置くと、他に誰が出るかと言う自分のコントロール外の要素に振り回されるので避けるべき」と注意していた。それを読んだ時は納得したが、マレーシアの過去記録を見たら「自分にも年代別優勝の可能性があるのでは?」と言う都合の良い解釈をしてしまった。後は、その否定と、淡い期待が葛藤し、心の底から「これだ」と思える目標を定められないまま、ダラダラと練習&準備をしてしまった。結果から考えると、1位はKonaの年代別チャンピオン経験者で約50分の大差。2位もバイクとランで差をつけられ約20分の差。二人ともあのレースコンディションで最後のマラソンを3時間で走っているので、仮に最後まで私の体調が良くても勝てなかった。敵を知らず、己も知らず、百戦危うし、という状態だった。

私のトライアスロンの目的の一つは自分の能力の向上とそれに対する好奇心を満たす事だ(どうなるのか、何が起きるのかと言うワクワク感)。そして、最終的にはトライアスロンを通じて人生を豊かにする事が目的だ。上位に入ることや表彰は嬉しい。でもそれが無くても練習で積み重ねたものを全てレースで出すことが出来れば満足できる。実際、ケアンズはそうだった。順位や結果は追うものではなく、後からついてくるもの。来季は自分の目的にあったゴールを設定しよう。

2020年前半の目標

来年前半のメインレースの目標を仮置きしておこう。

  • 目標:2019年のレースコンディションで下記タイムを出せるレベルに高めること(順位や当日のタイムについては目標にしない)
  • スイム1時間1分(−5分)
  • バイク5時間5分(−10分)
  • ラン3時間10分(−2分)
  • トランジション合計5分
  • 合計9時間21分(−18分)

また、コーチとも今年のケアンズ 後に中長期のマイルストーンを確認している。その中で2020年4月時点の目安は以下の通り。

  • スイム 6:00/400m  (今年8月6:07/400m)
  • バイク FTP290w/wahoo  (今年4月、10月とも279w/wahoo(288w/Rotor))

時間配分

2019年は、週の合計練習時間が9時間から14時間だった。連休や夏季休暇で週15時間以上練習した週もあったが、それは例外。家族や仕事と良いバランスを保つために、これ以上練習時間を増やしたくないので、後はこの中でどう工夫するかだ。

3種目の中ではバイクが圧倒的に改善余地が大きい、と信じたい。2019年は週の合計練習時間の45%-60%をバイクに費やしていたので、来季はもっと大胆に時間配分を変えてみたい。単純に練習時間を長くすれば強くなれるわけでは無い。でも、時間という貴重な資源の配分を大胆に変えることで、今までと違うレベルの変化を生みたい。結果がどうであれ、それは再来年以降にもつながるはずだ。また、これはスイムで圧倒的な苦手意識を克服することができ、ランでも新たなフォームで良い結果を出すことができたからトライできることでもある。今やるべきことだと感じる。

レース前調整

先に述べたとおり、マレーシアではゴール設定が不適切だったので、最後の3週間のテーパリングも不適切になったと思われる。練習量自体はケアンズ前とほとんど変わらないが、マレーシア前は体調に合わせた調整ができていなかった。敷布団を子供のために一枚減らしてから睡眠の質が落ちたようで、明け方に目が覚めたり、十分睡眠時間をとっても日中に強烈な眠気に襲われることがあった。おそらく敷布団だけの影響ではなく、夏の暑さや仕事などで感じるストレスなども複合的に影響していたと思われるが、レース3週間前から徐々に練習を減らしても、だるさが残り続けていた。そしてそのシグナルを無視して、Trainingpeaksの計画通りに練習をしてしまった。自分の能力の発揮に集中していれば、身体の状態にもっと敏感になれたと思われる。間違ったゴール設定のお陰で、見えない敵を意識して、それに振り回されてしまった。

コンディショニング

先述の通り、睡眠の質改善は最重要課題だ。まずは良いマットレスが必要と考え、先日、東京西川のAIR-SIを購入した。それ以外にも就寝前2時間以内の食事を避けたり、就寝前の水分取りすぎを注意するなど、基本的な事もやっていこう。

一方で良かった点もある。食事は一年を通して朝昼晩ともに自炊を続け、栄養バランスのとれた食事を続けることができた。アルコールも10ヶ月で5-6回しか飲まなかった。家事とトレーニングを優先し夜の食事会には極力参加しない方針なので、お酒を飲む機会自体がない。練習時間は週9時間から14時間程度に抑え、練習中と練習後の水分&栄養補給を確実に行った。これらの取り組みがどの程度効いたかは分からないが、一度も風邪や大きな体調不良にならず過ごせたのは、パフォーマンスの維持向上に大きく貢献しただろう。

来季はこれに定期的なマッサージを加えて、一年を通じて良いトレーニングが出来るようにしたい。

スイム

スイムは今年大きく改善する事ができ、練習でもやるべき事が見えてきた。基本的な練習サイクルは平日約3000m2回、週末約2200m2回の週4回練習だ。ただし、全ては出来ておらず、時期にもよるが週平均8km前後、160-180TSS程度になっている。

平日は一人で、フォームの改善、スピード強化、レースペース域での持久力向上を練習している。3000mのうち1000-1500mはコーチ作成のメニューを実施し、レースに向けて鍛えるべき所を少しずつ強化。週末はレッツスイムの練習会に参加しているが、月に2ー3回、ビデオ撮影で自分の泳ぎを確認する機会があるので、そこで改善ポイントを把握し平日に修正する。その繰り返しだ。撮影と言っても集団を一箇所から固定撮影した動画で自分の泳ぎを確認できるのは5秒くらいだが、改善のための貴重な機会になっている。

今年の大きな改善は左のストロークとボディポジションの改善。右手入水の時に一緒に頭を下げてしまい、身体を上下動させる事で無駄な減速と抵抗を生んでいた。また右手入水時に頭を下げるのに気を取られたのか、左手のプルとプッシュで身体を前に推進させる力を抜いていた。ここを、週末練習のビデオで確認しつつ、平日練習で集中的に改善した。今後は左手のストロークを右手に近いレベルで水を捉えられるようにすることと、下半身の左右のブレを修正する事が課題だ。

なお平日練習は以下のような内容だ。

  • 600mアップ(300m*2)
  • 250m程度キック
  • 1000-1500m程度メニュー練習 (メニュー練習は0:39-0:43/50m、1:28-1:34/100mくらいのペースで50mから200m程度で様々なメニューを繰り返し)
  • 1000-1200m程度レースペース練習 (200m-400mをプルブイとスイムを交互にレースペースで繰り返し)

バイク

バイクの基本的な練習サイクルは平日2回の朝練約50分と、週末の1時間半から2時間練習の2回。これらを全てインドアで実施し、レースの約2ヶ月半前からロングライドを5-6回行う。ハードな練習期間でも週間TSSは400-600程度だ。インドアが9割以上なので距離については確認していない。

今シーズンは4月まではFTP向上をメインに練習し、3月中旬から5月末まで5-6回のロングライドを行った。この期間の練習はうまく進める事ができたが、6月のレース後は、練習の方向性を十分定めきれなかった。毎回の練習の目的意識や集中力がやや下がっていた印象がある。8月と9月に八ヶ岳合宿をしたものの、涼しくて景色と空気が綺麗な場所で長時間自転車に乗って楽しんだ、と言う感じだった。家族との時間を楽しめたので、それは良かったが、純粋に競技力向上と言う観点では時間の割には効果が低い練習だっただろう。

ただし、年間を通してずっと質の高い練習をやろうと考え過ぎず、前半頑張れば後半は落ちる、夏場は疲れが取れにくい、東京23区内で夏に頑張るのは無理がある、など当たり前の事を受け止めて取り組むのが良さそうに感じている。また、来年はすでに予定が決まっているので難しいが、オフシーズンを7月から9月の間に持ってくるように年間2レースを組む事も検討したい。いつも一人で練習していて、参加するのはアイアンマン レースだけなので、南半球の人と同じ年間サイクルにしても何の問題もない。夏もトライアスロン以外の事も楽しめそうだ。

来季のケアンズに向けては、高負荷領域でのペダリング技術向上と、筋トレによる筋力アップの2点に集中して取り組みたい。今季の負荷別の時間を見てみるとZone5以上は全体の5%弱。両極型(Zone1/2や5以上の両端が多くなる配分)にするほど高負荷域をやり込む気力はないので、引き続きピラミッド型(Zone1から徐々に割合が下がる配分)のまま、Zone5以上を増やす事にトライする。推測だが、高負荷領域で股関節周辺や体幹部分を上手く使い、脚を疲労させにくいペダリングと、空気抵抗が少ないフォームに変えていく事が、今の自分に必要な事だと思う。なお、今までゾーン別の練習時間割合などを明確に決めて練習していた訳ではないので、この点も少し変えてみよう。

ランニング

ランニングの基本的な練習サイクルは、水曜日にスピード練習(7-10km 4:15/km 傾斜1.5%)、金曜日に持久力向上練習(10-13km 4:30/km 傾斜1.5%)をトレッドミルで行い、土日の早朝に外で10km程度走ると言うものだ。レース前の走り込む時期でも4週移動平均で週50km未満、休日日数にもよるが月間走行距離が200kmを超えることは年に1回あるかないか。30km程度の練習も年1回、20km前後も10回未満に抑えている。スピード練習もトレッドミルであれば4:15/km(傾斜1.5%)、外練習でも4:00/kmが最速だ。一方、距離とスピードを抑えている分、フォームにはいつも集中している。平均200spm前後のピッチを維持しながら、足の着地から離れるまでの体重移動、股関節周りの使い方、膝から下の脱力、そして結果としての上下動比の低下をいつもモニタリングしながら練習している。

来季はバイクの練習時間割合を増やすので、ランニングの練習時間が減る。そこで練習では、今までよりも1km当たり5秒程度スピードを上げて、少し疲れが出始める7-8km以降のフォームへの集中度合いを更に高める。

コーチング

昨年12月から久保埜さんにコーチを担当頂いた。コーチと言っても、お願いしているのはスイムとバイクの練習メニュー作成で、直接会ったのはケアンズ のレースの時だけだ。2ー3ヶ月に一度、気になった事を質問しその都度、適格なアドバイスも頂いている。コーチがいなければ、この1年の練習の量と質を実現する事はできなかった。直接フィードバックをもらう機会がなくても、今の自分に合った練習メニューを設計してもらい(自分でも少しアレンジする)、コーチの視線を意識して確実に練習を実施し、毎回、練習結果を報告するために取り組み方や課題を言語化する。それを繰り返す事で2018年以前と比べて、練習の楽しさ、やりがい、競技レベルが上がった。来季も引き続きお願いする予定だが、更にコーチングの価値を高めるために4週単位くらいで目指す状態を細かく確認し、技術的な面についての質問を増やそう。

レースのコツ

今年気づいた、レースをスムーズに進めるための改善も記録しておく。

  • 現地入りからレース当日にかけての準備リストを作成する。
    • マレーシアではまさかのトライウェア忘れがあった。今までは日本から出発する前の持ち物リストがあったが、レースチェックインからトランジションバッグ準備、バイク預託、レース当日の準備物とT1での作業について、全て作業リストを作成しておこう。リストにする事でミスを防ぎ、余分な事に頭を使わなくて済む。
  • バイクの規律を守る
    • マレーシアでは規律を守らず前半に飛ばし過ぎた。過去に何度も同じ失敗しているが、周囲に引きずられて、自分のやるべき事に集中できていなかったからだろう。改めてバイクでの優先順位を確認すると、「平均パワーはFTPの75%未満に抑える」、「パワーの上下を抑える(VI=1.02)」の順で、「(ドラフティングルール守った上で)他の選手と協調する」は上記二つを守れている時だけだ。
  • バイクの補給はジェル中心に変える
    • マレーシアで後半に冷たい水以外受け付けなくなったが、薄めたジェルなら冷たい水と一緒に胃に入れる事が出来たかも知れない。P5 Disc用のエアロボトルもあるので、固形物(エネ餅)はバイク開始から2時間4本までとし、それ以降は薄めたジェルに切り替えよう。
  • ランで大型ジップロックを活用する
    • 今後、マレーシアのような暑いレースには出場する事は無いと思われるが、ケアンズもランの前半は日差しが出たときは口と両手を氷で冷やしながら走った。マレーシアと同じく両方の鎖骨周辺を冷やすために大型ジップロックを用意しておこう。

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